相棒でおなじみの水谷豊さんが演じる杉下右京が
『相棒シーズン9』および映画の『劇場版Ⅱ』で
着用する腕時計が、サーカ(Ref.CT116T)です。

宝飾腕時計のサーカーではなく、サーカです。

ごらんの通り、アールデコでアンティークのトノー。
しかしながら、現在の基準にあてはめて観察してみると、
アールデコ”調”でアンティーク”風”でトノー”スタイル”。

特にこのトノースタイルがなかなか絶妙な味を出しています。
トノーといえばフランクミュラーのトノーカーベックスが
もっともわかりやすいモデルだと思いますが、
あのトノーを成立させている『ウネリ』は一つの完成形です。

ただ、このサーカのトノーのうねりっぷりは、
出過ぎず控えめながらも芯の強さを感じさせます。
こういうウネリもアリだなと思います。

サーカという会社は1920年代から1950年代の腕時計を
現在に復刻させることをその社是としています。

といっても、当時が腕時計業界的にどういう時代だったのか
よくわからない方もいらっしゃるかと思います。
安いクォーツ式腕時計が世界に広まり始めたのが1960年代。
ということは、1950年代まではまだユニクロ的な
クォーツ式腕時計がまったく存在せず、
画一性だとか大量生産だとか無縁であって、
値段の高低にかかわらず職人が作る、
値段は安くとも安作りな腕時計はなく、
一つ一つが小さな芸術品と考えられていた時代。

そんないわゆる古き良き時代の匂いとともに
当時の腕時計を現在に復刻させているサーカですが、
このトノーも含めて全てはっきりいって安いです。

しかしながら知的な右京さんが着用すると、
明らかにお値段以上。こういう人間になりたいものです。
なんて思ってしまいますが、
腕時計だけを見ていても
ちょっと良い感じじゃないでしょうか。